2-3. 会社の主役は人。人の作るストーリーを活かせ

会社案内の主役は誰でしょうか。
その会社の主力製品?

いえ、違います。
会社案内だから、当然「会社」です。
しかし商売は「会社」の人間と行います。主役はその会社の従業員達なのです。
商売の根底は人と人の結びつきにあります。
しかし、あまり人の姿、顔が見えてこない会社案内が多くありませんか?

確かに人を主役にすると、なんだか垢抜けないイメージがあったり「ダサい」イメージを思い浮かべるかも知れません。「リクルート」に間違われる、とか「社長の顔が出るとかえってイメージダウン(?)」といわれるところもありました。

でも、社員や社長の顔がひとつもなく、製品や実績の紹介で終止する会社案内に共感をおぼえることができるでしょうか。「顔を隠して営業してこい」と言っている様なもんです。

商品を売り込むにしても、その商品をいかにして開発したか、開発するに至った苦労やエピソードはたくさんあるはずです。そのエピソードこそが商品に人間的感情を吹き込みます。

ひとつひとつの商品のエピソードが重なって、その会社の歴史は形作られています。
それがすなわち「ストーリー」なのです。歴史の浅い会社であっても、設立にあたってのエピソードはあるはず。また設立者(社長)の、設立までの歴史も立派なストーリーです。

ストーリーはすなわち「打ち明け話」でもあります。
心理学的には打ち明け話は「自己開示」と呼ばれ、相手との親近感を高めるのに絶大な効果があるといわれています。打ち明け話によって、読者の共感が得やすくなります。
その会社が経験してきた苦労や喜びのプロセス(エピソード)を読者(お客)と共有することで、お客はその会社に対して、商品に対して親近感を得ます。
そしてお客の共感を得ることで、より近い関係を作ることができるのです。

私は仕事がら、社長と直接お話をさせて頂く機会が多いのですが、そのときに会社案内では見えなかった意外な会社の側面やエピソードを知ることも多くあります。
なぜこんな面白い話を会社案内に活かさないのか、残念に思うと同時に、まだまだ埋もれた「情報」の資産が数多くあるんじゃないかと感じます。

会社案内を製作する上で、ある程度のヒアリングは欠かせませんが、この「埋もれた情報」をうまく活用している会社案内はほとんどありません。
なぜなら、この作業はとても大変なことだから。

しかしこの作業をもう一度掘り起こし、洗い直してみることは会社にとって大変重要なことです。
今まで見えてこなかった戦略が、過去を見直すことで見えてくることも少なくありません。
過去を振り返ることで、未来の新しい差別化戦略が見えてきます。