あなたの会社は「オシャレ」ですか?


私はデザイナーですから、いろんな方とよくデザインの話をします。
その中には、「ウチの会社はまだ(良い)デザインは必要ないよ…」という方ももちろんいらっしゃいます。
でもその方は謙遜してそう言われているのか、本気で言われているのか…。
そんな方でも、ご自身の乗っている車の形や色にはこだわっていたり、ゴルフのブランドにはうるさかったりします。
デザインには興味がない、と言ってる人でも「関心のある分野」ではしっかり興味があるんです。
では、デザインにはどんな力があるんでしょうか?
こんな話があります。

あるビル管理会社では清掃スタッフの定着率が悪いので困っていました。
彼女たちにとって、掃除は「ガマン」の仕事。
お金が貯まればあっさり退職してしまうのです。その度に求人募集するのでは大変です。ローテーションも組み直さなければいけません。
そこで社長は、これまでの実用本意の制服からグリーンの「オシャレな」制服に切り替えました。掃除用具も合わせてグリーンに切り替えました。
その結果、驚くほど彼女達の退職率は下がったのです。
退職率低下の要因は、スタッフ達に「プライドを持たせる」ことだったのです。

これはデザインの話とは全く違うように見えますが、実は大きく関係あります。
「ウチの会社にはオシャレなんか関係ないから」と言っていたら上の様な発想は生まれてきません。
実は社長が思うより多くの社員やお客様は、あなたの会社のセンス(= オシャレ)には敏感なのです。
少し昔の例ですが、東京海上火災がロゴマークを変えた直後に作成された、社員と代理店用のバッジ(=社章)の装着率は100%に近かったそうです。

アメリカの大統領選挙では、候補者にコーディネーターが付き、討論会では相手によってスーツの色やネクタイの柄まで変えていきます。着る服によってその人のイメージを大きく変えることが出来ることを承知の上での“デザイン戦略”です。
そういえば、アメリカの企業は、一流と言われる企業からそうでない企業まで、デザインには特に敏感です。
それもそのはず、デザインは企業にとっての“制服”であり“スーツ”なのですから。